【STORY】
「うちと一緒に死んで、極楽浄土に連れてってくれる?」

明治四十年。夏。京都伏見に住む百川稲子(ももかわいなこ)は、何をやっても上手くいかず、父親に叱責される毎日。
彼女にとって唯一の救いは、神仏に祈り信じることだけだった。ある日いつものように伏見稲荷で手を合わせていると
、「見えへんもんは信じひん」と吐き捨てる自由奔放な少年・坂本喜八さかもときはちと出逢った。彼は神仏を否定し
、これからは電気の時代だと豪語する。

そんな折、稲子に突如結婚の話が持ち上がる。父の一方的な決定に、しかし自分の価値はそれくらい、と諦める稲子。
喜八はそんな彼女の逃げ出したいという本心を引き出し、閉ざされた家から連れ出した。

結婚を止める唯一の方法は、奇書『電氣目録でんきもくろく』を探し出すこと。
それは喜八が幼い頃に書いた電気に関する予言書で、かつて兄・清六せいろくが持ち出して行方知れずとなっていた。
喜八と稲子――二人は『電氣目録』を探し、京都・滋賀の地を逃げ回る。

消えた『電氣目録』。そこに隠されていた秘密とは――。

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【書籍情報】
二十世紀電氣目録

著者:結城 弘
イラスト:池田和美
美術・背景:長谷百香
発売日:2018年8月10日
価格:648円(本体)+税
ISBN:978-4-907064-88-4

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